薪サウナの立ち上げ時間を短縮する方法―効率よく温めるコツ
投稿者 :サウナハウス on
薪サウナは電気式と違い、火を育てて温める“時間の芸術”。
けれど、「温まるまで1時間以上かかる」「なかなか100℃に届かない」──
そんな声をよく聞きます。
実は、立ち上げが遅いのはストーブの性能よりも、火の起こし方や薪の状態に原因があることが多いのです。
この記事では、我々のノウハウをもとに、薪サウナを最短で立ち上げるコツを紹介します。
1. 乾燥した薪を使う ― “水分”が敵
薪の含水率が20%を超えると、
火力の約30%が「水を蒸発させるため」に使われてしまいます。
つまり、湿った薪は燃やす前にお湯を沸かしているようなもの。
サウナ室の温度がなかなか上がらない最大の原因です。
🔹対策
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含水率15〜18%が理想。購入時に「乾燥済み」表記をチェック
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雨天時は屋内やブルーシート下に保管
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使う前日に室内に入れて「予熱」するだけでも火つきが改善
2. 着火は針葉樹、持続は広葉樹で組み合わせる
薪の種類を使い分けると、温度の立ち上がりと安定性を両立できます。
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立ち上げ:針葉樹(スギ・ヒノキなど)
→ 軽くて樹脂が多く、すぐに炎が立つ -
安定燃焼:広葉樹(ナラ・カシなど)
→ 炭を作りながら持続的に高温を維持
🔸プロの焚き方例
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新聞紙+小割りスギで着火
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炎が安定したら中割り広葉樹を投入
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炭床ができたら本薪を追加
この流れで、30〜40分で体感100℃サウナが可能です。
3. 薪の組み方で燃焼効率が変わる
意外と見落とされがちなのが「薪の組み方」。
炎は上に上がるため、空気の通り道を確保することが大切です。
🔹おすすめの組み方
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井桁組み(いげたぐみ):空気が通りやすく立ち上がりが早い
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ティピー型(テント型):小規模サウナや着火時に◎
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平積み+空間重視:安定燃焼時に適する
🔥ポイント:ストーブの一次燃焼口(下部吸気)を塞がないこと!
ここが詰まると酸素不足になり、炎が立たず煤(スス)が溜まります。
4. ドア開閉と煙突ドラフトを意識する
薪サウナは空気の流れ=燃焼効率です。
点火初期は煙突内が冷えていて、煙が抜けにくくなっています。
そのため、最初の10分ほどはドアを少し開け、空気を流してドラフト(上昇気流)を作るのがコツ。
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点火後5〜10分間:ドア or 灰受けを少し開ける
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炎が安定したら閉じて温度保持
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煙突が十分温まるとドラフトが強まり、燃焼が安定
もし立ち上がりが遅いときは、煙突が冷えすぎていることを疑いましょう。
5. サウナストーンを入れすぎない
ストーンは多いほど蓄熱しますが、立ち上げ時間は比例して延びます。
薪サウナの場合は、
メーカー推奨量の7〜8割程度から始めるのがおすすめ。
特にHUUMやNarviのような高密度ストーンモデルは、
フル積載だと温度上昇が遅くなる傾向があります。
まずは軽めに積んでみて、立ち上げ30分時点の温度を確認し、
そこからストーンを徐々に増やす調整が最適です。
6. ストーブの掃除と空気経路のメンテナンス
煤や灰が溜まると、燃焼効率が一気に低下します。
特に灰受け皿・ロストル(火格子)・吸気口は要チェック。
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使用10回に1回は灰を完全除去
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煙突内も年1回はスス払い
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炎が赤く鈍い → 空気不足のサイン
メンテナンスを怠ると、立ち上げが2倍遅くなることもあります。
7. 実践テスト:弊社で使っているバレルサウナの場合
弊社で使用しているバレルサウナ(約6㎥)、ストーブはHarvia M3
以下の条件でテストを行いました。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 外気温 | 10℃ |
| 薪 | 針葉樹(スギ)+広葉樹(ナラ) |
| 煙突 | 115mm二重断熱 |
| サウナストーン | 推奨の80%積載 |
🔥 結果:点火から38分で室温100℃到達。
燃焼安定後は薪補充30分ごとで温度維持可能。
体感的にもロウリュ蒸気がしっかり伸び、非常に効率的な立ち上がりでした。
まとめ:薪サウナは“火の育て方”で決まる
サウナを早く温めるコツは、道具ではなく火の扱い方にあります。
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乾燥薪を使う
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針葉樹→広葉樹の順で焚く
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空気の通り道を確保
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ストーン量と煙突温度を調整
この4点を押さえるだけで、
今まで1時間かかっていたサウナが30〜40分で最高温度に到達します。
薪サウナは“育てるサウナ”。
ちょっとしたコツで、その魅力は何倍にも広がります。